分娩直後の臍帯採血
児が分娩すると、臍帯をクリップなどでクランプ(遮断)します。
あとはコッヘル鉗子等でさらに2本クランプし、クーパー等で切断します。
これで児は臍帯から外れます。
コッヘル鉗子2本は後の臍帯動脈採血と、臍帯静脈採血をするまで血液そこに保つために行いますので忘れずに行いましょう。
ちなみに臍帯動脈血、臍帯静脈血はそれぞれ行いますが、この際に細い2本ある血管が臍帯動脈で、太い1本の血管が臍帯静脈です。
穿刺する際は、成人に正中静脈から採血する際と異なり、穿刺針のカット面を下向きにします。
イラストのようにカット面を下にすることを忘れないでください。
これを逆にすると穿刺した瞬間に血液が飛散して悲惨なことになります。
飛散しないように針先は覆いかぶさるイメージです。
飛散、悲惨
本当に初めての方してしまいがちで、周囲からも冷ややかな視線が送られ、なんとも言えない気持ちになりますのでご注意下さい。
臍帯動脈、臍帯静脈は何本?
医学生の時には、
胎児の内腸骨動脈から分枝、内腸骨動脈は2本あるから臍帯動脈は2本と覚えていました。
これでよいのですが、現場にでてからの実臨床で出会う考え方や映像、用語から覚えるのもよいかと思います。
・産科
・婦人科
どちらの機会でも出会う場面はあります。
何せよ色々な引き出しはある方にこしたことありません。
まずは、妊婦健診の際にエコーで日本であればほぼ毎回子宮内を観察します。
その際に、施設によりますがおおかた妊娠20週頃と30週頃に胎児スクリーニングを行います。
胎児や胎盤などの付属物等に形態異常等が無いか系統立ってみます。
施設によっては臨床検査技師さんが行うこともあるようです。
その際に臍帯動脈や臍帯静脈も確認します。
正常例は臍帯動脈2本、臍帯静脈1本です。
臍帯の断面図は2つの動脈が細く、1つの静脈が太く、2つの耳と1つの顔でちょうどミッキーのようになります。
また、胎児の腹部を冠状断で描出し、胎児の膀胱レベルの両側の外側にエコーFLOWをかけるとそれぞれ拍動する臍帯動脈を確認できます。
この正常所見を2A1Vとカルテに記載したりします。
なお、1A1Vと書いていたら単一臍帯動脈で異常所見です。他に異常を伴わないこともありますが、胎児に他の形態異常を伴うこともあるため注意が必要です。
他の形態異常が無いかエコーを念入りに行うきっかけにもなります。
次回は婦人科手術の際に思い出される臍帯動脈について書きますね。
硬化性苔癬
産婦人科では閉経後の女性が外陰部瘙痒感を伴って受診するケースが多く、リンパ球の浸潤が病態のようで治療にはストロンゲストのステロイド外用剤が推奨されています。
使用期間も数ヶ月と長くなる場合があり、また悪性腫瘍の発生もあることから継続的な通院かが必要になるかもしれません。
参考・引用
硬化性萎縮性苔癬 診断・重症度分類・診療ガイドラインhttps://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/lichen%20sclerosus%20et%20atrophicus.pdf
誤植案件
こやつの4ページに妊娠合併妊娠という誤植がありましたことをお知らせします。
お勉強の中で誤植はほっこりしますね。
円靭帯(子宮円索、子宮鼠径索)のその先
学生の頃に女性生殖器周辺の解剖で円靭帯、基靭帯、仙骨子宮靭帯…卵巣堤索、固有靭帯…
頭がパニックに🤯
子宮全摘の手術する手順を覚えればそれはそうだという話になるのですが初学者には難しいです…
「まずは円靭帯!!円靭帯はまず切るとこ」
これだけでも初学者にはよいかもしれません。子宮は何しからの構造物で固定されていますが、子宮体部の前の方に位置するのが円靭帯です。この反対側は鼠径輪を通っており、円靭帯の別名を子宮鼠径索ともいうことから前!とも覚えれます。
子宮全摘後の標本ではどっちが前か後ろかわからないと初期研修医によく言われますが、円靭帯の付着部が前ということで簡単にわかります。
産婦人科に興味の無い人にも興味を持って欲しいので円靭帯について内科の先生が解説してくれた記事も貼っておきます。
https://twitter.com/wi6m59/status/1165461304456314881?s=21
なお基靭帯は子宮頸部(下の方)についており、子宮体部(上の前の方)についている円靭帯とは全く違いますということを学生さんに強調するとともに、癌などの悪性腫瘍の手術では基靭帯をどれだけ大きく切除するかにこだわっているんだなあと見学してくれればよいです。
基靭帯の中には子宮動脈やら尿管やら様々な構造物が位置しているためそこを剥離展開するために手術難易度はグッとあがります泣
仙骨子宮靭帯は名前の通りなので覚えれるでしょう。
卵巣堤索は覚えにくいので固有靭帯を覚える方からとりかかりましょう。
女性に固有と言われれば、子宮と卵巣!そんな気はしませんか?なので子宮と卵巣を繋げているのが固有靭帯。卵巣堤索はそれではなく、卵巣と骨盤壁方向に繋がっていると覚えましょう。
蚊に刺されて痒い時
僕の中ではムヒとウナが2大巨塔ですが、みなさんはどうでしょうか?
成分には違いが少しみられます。
ウナはリドカインという局所麻酔薬でも使う成分が含まれています。
https://hc.kowa.co.jp/otc/9905/
ムヒはデキサメタゾンというステロイドが含まれており炎症を抑えます。
https://www.ikedamohando.co.jp/sp/products/insect_bite/r_muhi_s.html
また共通しているのはカンフル剤やアレルギー反応を抑える抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミンが含まれています。
蚊🦟に刺されないような対策がもちろん必要ですが今回は刺された後に使う成分についてでした〜
ちなみに今月は蚊の発生防止強化期間だそうです。
東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/smph/kankyo/eisei/baikaikataisaku/boushi_gekkann.html
胎児の一過性徐脈の理解
一過性徐脈とは、一過性に徐脈になること、つまり徐脈から回復することです。
2分以上持続すれば遷延性一過性徐脈なので、2分は持続せんけど…という理解。
子宮収縮に伴って、胎盤への血流減少からの胎児への作用だから収縮から少し遅れて出現するのが、遅発一過性徐脈。
①
胎児にアシドーシス(臍帯動脈血が酸性の方に傾くやばい状態)をきたす、低酸素で直接胎児の心臓にヤバイヤバイってなってる状態
②
あ、低酸素、血圧あげな!血圧上がったらちょいと徐脈にしとこ〜的な…こちらはアシドーシス伴わないとされています。
2つのパターンがありますが、現実問題鑑別は難しいですよね〜
遅発一過性徐脈を認めた場合は軽度、高度にかかわらずレベル分類で3以上なので監視強化、保存的治療、急速墜娩(はよ子宮内から赤ちゃん生まれさせること)の準備はせんとダメですね。